バイクに「USB電源」を取り付けよう。作業手順や必要な道具を徹底解説。初心者でもミスしない注意点とは?
モデル車両:Ninja400(2016)
【難易度】中級(電気に対する知識が必要です)
【作業時間】1~2時間
【予算】2,000円~(工具抜き)
【工賃目安】5,000円
きょうすけです(@kyosuke400)
今の時代、スマホの普及に伴って必需品となった「USB電源」
純正オプションでも採用されてきており、納車したらつけたい装備の一つです
ですが車体の電気を使用する「電源取り出し」は専門知識が必要となり、お店で頼むと5000円前後かかってしまうのが事実
需要に対して少し敷居が高いのかなと思っています
しかし!注意点をしっかりと理解できればやることは単純です
ココでは、ゼロからでも電源取り出しができるようにサポートさせていただきます
確実な作業をするための「必要な知識」
電源取り出しは、間違えた知識で行うとバッテリーあがりや出火する可能性があります。
予備知識がない状態での作業は大変危険です。まずは焦らず、正しい知識を身につけましょう
ボディアースについて理解する
さて、いきなりですが問題です
バイクには各種電装品を点灯させるため、バッテリーが装着されています。
バッテリーの電気は、プラス端子から流れ電装品により消費され、マイナス端子へと戻っていきます。
では、プラス端子から、直接マイナス端子へと電気が流れた場合どのようになるでしょう?
答え:ショートし端子から火花が発生したり、配線が焼け切れたりします。
そして恐ろしいのが、気化したガソリンなどに反応し、バイク自体が炎上してしまう恐れがあることです。
このことは別記事で詳しく取り上げています。
ボディアースについても理解する必要があるため確認してください!
参考記事 | ◎【Q&A】なぜバッテリーはプラスから繋いで、マイナスから外すんでしょうか? |
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交流(AC)と直流(DC)
バイクの車体に流れる電流には『交流(AC)・直流(DC)』の2種類あります。
〈交流〉例:家庭用コンセント 電気の流れる向きが変化し、プラスとマイナスが変化する |
|
〈直流〉例:乾電池 電気が一方向にしか流れず、プラスとマイナスが常に同じ |
USBソケットを始めとする電装品のほとんどが、直流(DC)でないと使用できません。
車体には直流、交流どちらも流れていますので、どこの配線から電気を分岐させるか事前に確認しましょう。
直流配線の簡単な確認方法
キーをONにしたとき(エンジンはかけない)点灯すれば直流、エンジンを始動しないと点灯しない場合は交流となります。
直流の電装品一覧 | キーをONにしたとき |
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ポジションランプ メータ球 ヘッドライト |
点灯すれば直流 |
ブレーキランプ | ブレーキを握って(踏んで)点灯すれば直流 |
※あくまで一例、すべての車両には当てはまりません。
確認風景 | イメージがつかない方はコチラを参考にしてみてください アクセサリー電源(ACC電源)ってなに!?配線の特定方法 |
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電源取り出しの種類
車体からの電源は、主に下記の場所からもらうことになります。
・バッテリー
・ヒューズ
・車体配線
中にはオススメできない場所も含まれますので、まずは良し悪しを確認してみましょう。
バッテリーから直接もらう
バッテリーの端子に直接つなげて電源を取る方法です。
一番ラクですが、オススメできません。
エンジンを切っていても電装品を使用できますが、常にバッテリーから電源を取っていますのでバッテリーに負荷がかかってしまいます。バッテリー上がりのリスクが跳ね上げリますのでヤメておきましょう。
ヒューズから取る
こちらは市販品のものを使用します。ヒューズから配線が出ているものに交換するだけで使用できます。
作業は比較的楽ですが、車体の安全装置であるヒューズを飛ばしやすくしてしまうデメリットが挙げられます。
ヒューズが飛んでしまうと、本来の車体側の電装系、電源を取り出した先の電装系、共に機能しなくなります。
車体の配線から電源を取る
作業難度は上がりますが、可能ならばこの方法が1番です。
キーがONの時に通電するところから電源を取ることで、バッテリー上がりのリスクなどを減らせます。
ココではこちらのやり方を紹介していきます
必要な道具
配線加工には専用の道具が必要です。
使い方もご紹介しておりますので、そちらも確認してみてください。
初めてで道具を何も持っていない方は「ターミナルセット」がおすすめです!
必須道具である電工ペンチ、各端子がセットになっています
電工ペンチ
配線加工に欠かせない「電工ペンチ」
各端子の圧着や配線の切断、被覆を剥いたりするために必要です。
使用方法 | ギボシ端子などの圧着(かしめ)方法や注意点 |
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端子類(ギボシ端子など)
切断された配線など、2つの配線を繋げるために必要
端子には様々な種類がありますが、ココで使用するのはギボシ端子とクワ型端子の2つです
【ギボシ端子】 配線を繋げることができる |
|
【クワ型端子】 ボルトと共締めできる |
使用方法 | ギボシ端子などの圧着(かしめ)方法や注意点 |
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配線
電装品を取り外せるようにしたい場合は用意しましょう。
標準サイズの「1.25sq」が使用します。色はお好みで
絶縁テープ/熱収縮チューブ
熱収縮チューブ 収縮チューブ 560ピースセット 絶縁チューブ 防水 12サイズ 1mm~13mm 収縮率2:1 高難燃性 ...
むき出しになった端子や配線を保護したり、ボディアースとの接触を防ぐために使用します
絶縁テープと熱収縮チューブがありますのでお好みで(使用方法は下記を参照)
使用方法 | 準備中 |
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マルチテスター/検電テスター
配線に電気が来ているか確認するために必要です。
マルチメーターは、電装系部品の点検などにも必要ですので持っていて損はありません。
電気が流れているか確認するだけならば、検電テスターでも問題はありません。
使用方法 | 【マルチテスター】準備中 【検電テスター】準備中 |
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作業前に確認すること
効率よく作業をするためには、取り付けイメージを想像することが大切です。
作業前に以下の項目をしっかり確認しましょう。
車両電装品の点検
車両に備わっている電装品が正常に作動するか確認しましょう。
確認する電装品 | |
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エンジン始動 | ヘッドライト |
ウィンカー | ブレーキランプ |
テールライト | ホーン |
取り付け位置を決める
まずはUSBソケットの取り付け位置を決めます。
(例)ハンドル周りにUSBソケットを持ってこよう
ユニットの隠し場所の確認
配線の途中にユニットが備わっていることがあります。
カウルの内側など目立たない位置に隠しましょう。
(例)ユニットはタンクの下に隠そう
プラス配線の確認
前述の確認方法でDCが流れている配線を確認します。
(例)リアブレーキスイッチの配線から電源をもらおう(シート下あたり)
アースポイントの確認
アースポイントはボディかバッテリーがわかりやすいです。配線からもらいたい場合は、アースが流れている配線を特定する必要があります。
アースに付いていは前述を参考にしてください
(例)アースは、プラス配線に近いバッテリーに直接つなげよう(シート下にある)
上記4点を踏まえて、取り付けイメージを固める
『(例)』をまとめると、
USBソケットはハンドルに取り付け、プラスとマイナスは互いが近しいところからもらう。
配線はシート下からタンク下を経由しハンドルへ。ユニットはタンク下の隙間に隠します。
これだけの取り付けイメージがあれば、外す外装などがわかると思います。
実践!電源取り出し
それでは実際に作業を進めていきます。
・+ → Rブレーキスイッチの配線
・- → バッテリー
・取り出す配線の特定や、外装は外してあるものとします。
〈工程1〉分岐配線を作る
車体側の配線から、電装品用の電源を取るための分岐を作ります。
完成イメージ |
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車体配線からY字の形になるように分岐を作ります |
〈STEP1〉配線の被覆を剥く
分岐を作るために、車体側の配線と分岐用配線(長さはお好みで)の2本の被覆を剥きます。
配線は、電気を通す導体、電気を通さない絶縁被覆で構成されています。
この被覆を剥がし導体を露出させます。
被覆を剥くには、電工ペンチ、ワイヤーストリッパー、カッターなどを使用します
参考リンク | ◎配線加工用工具の使い方 配線加工用工具の使い方、かんたんな被覆の剥き方 |
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これはトラブルが発生した場合の、交換などのリスクを減らすためです。
メインハーネスとは |
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配線の集合体がメインハーネスです(赤エリア) かなり簡略化しておりますが全ての配線が集まっています |
完成形 |
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〈STEP2〉分岐配線に端子を取り付ける
分岐配線にギボシ端子(メス)を取り付けます。
参考リンク | ギボシ端子などの圧着(かしめ)方法や注意点 |
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ギボシ端子(メス)/スリーブ |
完成形 |
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〈STEP3〉配線同士を繋げる
被覆を剥いた車体側の配線と分岐配線をつなぎ合わせます。
つなぎ合わせる方法は下記を参考にしてください
参考リンク | 【配線加工】スプライス端子で配線を分岐させる方法 |
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〈工程2〉電装品の配線を加工する
使用する端子 | |
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+側:ギボシ端子(オス) | -側:クワ型端子 |
参考リンク | ギボシ端子などの圧着(かしめ)方法や注意点 |
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ココでもスリーブの入れ忘れに気をつけましょう。
配線の準備が完了したら、無事に通電してるかテストしてみましょう(キーをオンにして電装品が反応するか)
〈工程3〉車体に配線を通す
取り付け位置や配線の場所などにより、車体に配線をそわせたり、まとめたりします。
ココでは、シートの下からタンク下を経由し、ハンドルへ配線を通します。
またタンクの下などを通すとき、配線を噛まないよう気をつけましょう。
配線を通し終わったら、車体の電装品、取り付けた電装品が正常に作動するか確認しましょう。
最後に外装を全て戻し、作業終了です。
よく起きるトラブル
電源取り出しで起きやすいトラブルと解決方法をご紹介します。
電装品が正常に作動しない場合は確認しましょう。
ACCの確認
プラス電源を取る配線を間違えているかもしれません。
直流の電気がしっかりと取れているか確認しましょう。
アースポイントの確認
ボディアースを使用している場合、本当にアースが取れているか確認しましょう。
塗装されている場所ではアースが取れないことがあります。
接触不良
接続端子やアースポイントなど、つなぎ直して確認してみましょう。
全く関係のないところが作業の合間に外れてしまうこともあります。
ヒューズの確認
車体、電装品にはヒューズが採用されています。
ヒューズが頻繁に切れてしまう場合、どこかでプラスとアースが接触してしまっているかもしれません。
電装品の不良
可能性としてはあり得ます。試しにバッテリーなどに直付けしてみて確認してみましょう。
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タグ:電源取り出し
とても分かりやすい説明でした。色々なホームページを見ましたが、どれもある程度知っている前提で書かれていたので、疑問が一杯でした。是非最後まで本ホームページを完成させてください。応援しています。
>koshigayaさん
コメントありがとうございます♪
おっしゃる通り。ミスしやすい注意点が抜けていたり、そもそもの原理の説明が不足していたりと、作業が初心者向けではない分その辺りはしっかりと解説するべきだと思っております。
「初心者の方でもわかるように」をモットーとしていますので、そう言っていただけるととても励みになります^^
今後とも、どうぞよろしくお願いいたいます♪